過払い金請求時に知っておきたい消滅時効と請求期限
近年、過払い金請求が盛んに行われていますが、実際に過払い金請求を行う場合は請求そのものができなくなってしまう消滅時効に注意が必要です。
消滅時効が発生する起算日は返済の状況によって変化をするので、借金を完済した場合や事情があって借金の返済を一時停止した場合など、状況別に並べて起算日を求める必要があります。 今回はそんな過払い金請求をする前に確認しなければいけない消滅時効や請求期限について説明をしていきます。
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もくじ(メニュー)
- 3)消滅時効を回避するために起算日を把握する
- 3-1:消滅時効が成立する前に請求をする
- 3-2:完済した取引の起算日を知る
- 3-3:返済中の取引の起算日を知る
- 3-4:過払い金請求の取引の一連性と分断とは
- 5)まとめ
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過払い金請求はいつまでもできる?
過払い金請求には消滅時効がある
権利というものは、一定の期間、行使しないでいると消滅します。 これを消滅時効といい、過払い金請求権も不当利得返還請求権という債権であるので時効により消滅します。
その期間は、他の債権と同様に10年です。 時効の起算点については、取引が終了した時点という判例があります。 つまり、過払い金請求権の消滅時効は取引終了時から10年ということであり、言い方を変えれば、取引終了時から10年経っていなければ過払い金請求できるということになります。
過払い金請求の期限は最終取引日から10年
過払い金請求には期限があります。 最終取引日から10年間で時効を迎えてしまうため、その前に請求をする必要があります。 10年間というとかなり長い期限のように感じがちですが、各消費者金融が適切な金利に切り替えてから10年が過ぎているので、それ以前に取引を終えたものは時効を迎えてしまっている可能性が高くなります。
しかし、最終取引日ですから、返済をし続けていたような場合には過払い金請求ができる場合もあります。 いずれにしても期限が迫っていることは確かですから、時効を迎えてしまう前に早めに過払い金請求を行っていきたいものです。 短期間での手続きが必要になりますから、不安な場合は弁護士や司法書士などに早めに相談してみましょう。
2017年で過払い金請求ができなくなるという広告に注意
テレビやCMなどのメディアの一部では「2017年で過払い金請求ができなくなる」と伝えていますが、大きな間違いです。 過払い金には『最終取引から10年』という消滅時効が設けられています。
そのため借入をしている個人によって時効はさまざまで、2007年頃に完済した借金があれば2017年が時効となります。 しかし、2007年以降も借金を返済し続けていればそれだけ期限は伸びていきます。
過払い金が発生していたグレーゾーン金利が違法であると判断されたのが2006年です。そのため大手賃金会社の多くが2007年に金利改定を行いました。 2007年以降はグレーゾーン金利が廃止されたので過払い金が発生することはありません。 つまり過払い金請求を行わなければならないのは2007年よりも前に借金をしていた、または完済した借金がある人たちです。
このように過払い金において『2007年』は節目の年となるので、消滅時効の10年を絡めてメディアは間違ったことを宣伝しているのです。
しかし、過払い金請求の時効が迫っていることに間違いはありません。 長く取引をしているほど過払い金は非常に高額となり、中には数百万円となる場合もあります。 2007年よりも前に借金をしていた場合は借金完済時期を確認した方が良いかもしれません。
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過払い金発生している人の時効の期限が迫っている
2007年に金利改定が行われた
過払い金請求を行う際に意識しておきたいことの1つとして消滅時効があります。 2017年は過払い金請求において非常に重要な年であると言われています。
なぜなら2017年の10年前である2007年に金利改定が行われたからです。 意外なことに、日本を代表するような、非常に名の知れた有名な金融業者でも規定を超える金利を請求していた時代があり、社会問題となっていました。 それに対し最高裁判所の判例にて金利について明確に述べられ、2006年に賃金業法が改正されています。 この賃金業法の改正によってほとんどの賃金業者が翌年の2007年に金利を改定しました。
つまり2007年以前に業者からお金を借りていた場合は過払い金が発生している可能性が極めて高いと言えます。 しかし2007年以前に過払い金が発生しているにも関わらず、その事実を知らずに過ごしてきた場合は2017年に過払い金請求の消滅時効を迎えることになります。
10年を過ぎると本来返ってくるはずのお金が受け取れなくなります。 もし心当たりがあるのであれば一度確認をすると良いでしょう。
期限が迫っている人は早めに手続きを行う
2006年に最高裁判所の判断で、利息制限法を超えた利息は返金手続きをすれば返金されることが認められました。 そのため2007年ごろにはほとんどの貸金業者が金利を改定しています。 そう考えると過払い金請求の消滅時効は10年なので、2007年に完済した人は時効が迫っているということになります。
ただ、取引終了後から10年という期限なので、その会社との取引が終了していなければまだ時効にはなっていないはずです。 ですが、過払い金請求の準備をしている間に時効を迎えてしまう可能性もあります。 過払い金請求権を持つ人は、取引履歴の開示請求などの行動を早いうちにすることが重要になってきます。
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消滅時効を回避するために起算日を把握する
消滅時効が成立する前に請求をする
たくさんの賃金業者が金利の改定を行った2007年から約10年が経過する現在はまさに、たくさんの過払い金案件が消滅時効を迎えようとしている最中であり、本来であれば取り戻せる高額の過払い金が1日が経過したことで取り戻せなくなるということも無くはありません。
過払い金請求は法律で定められている正当な権利ですので正しく請求を行えば相手側が倒産もしくは資産が無い場合を除くと返還してもらえる可能性が高いですが、消滅時効を迎えてしまうと取り戻すことができなくなってしまいます。 少しでも過払い金があると思われる方は一刻も早く調査を行うことをおすすめします。
完済した取引の起算日を知る
既に完済している取引における過払い金請求を検討している場合において、消滅時効である10年の起算日がいつであるかをまず確認する必要があります。
賃金業者が金利改定をした2007年から現在は10年が経過していますが、消滅時効の期間である10年の起算日は該当取引案件の最終の返済日、つまり完済日であるため、この日から10年が経過していなければまだ時効は発生していないということになります。
また、完済日から10年が経過していた場合は絶対に返還できないかというとそうでもなく、完済してからすぐにまた別の借金を行った場合については、その2つの取引がまとめて1案件とみなされることもあり、その場合は2つ目の取引の完済日が起算日となるからです。
返済中の取引の起算日を知る
過払い金であっても普通の債権と同じ様に10年経つと時効となってしまうので、過払い金請求を行う場合はこの期限内に行う必要があります。 しかし、10年と言ってもいつから10年になるのでしょうか。 これは現在の状況などによって異なるのですが、最後に返済した日から10年、もしくは最後に取引をしてから10年となっています。
返済中の場合どうなるのかというと、返済が継続している限り時効が成立するということはありません。 ただし、これはあくまでも滞納していないケースの話で、返済が終了していないにも関わらず滞納中の方の場合、最後に借入か返済をした日から10年間で消滅時効となります。
つまり、完済している場合と滞納している場合はほぼ一緒で、平成18年8月1日に完済か最後の取引を行った場合だと平成28年8月2日に過払い金請求は出来なくなるということになります。 しかし、滞納中の方は過払い金が発生している可能性が非常に高いです。 と言うのも、滞納しているのに返済の督促がないというのは本来おかしい状況です。
過払い金の時効を待っているだけかもしれませんので、返済中なのに最後の取引から数年以上経過している場合には確認してみると良いでしょう。
過払い金請求の取引の一連性と分断とは
過払い金請求における消滅時効起算日は取引の一連性と分断にも注意しなければなりません。 取引の一連性・分断とはどういうことかというと、借金を1度完済した後にまた同じ貸金業者から借り入れをした場合に1つの契約とするか2つの契約とするかという問題です。 この一連取引と分断は過払い金請求においてよく争点になるポイントです。
キャッシングは借りては返して、取引が多いものなのでどこで区切るかによって違いが出てくるのです。 一連計算をした方が過払い金は多くなる可能性が高くなります。
消滅時効さえ来ていなければ同じと感じるかもしれませんが、利息が異なるので過払い金の額が大きくなるのです。 もっと大きなポイントとして一連計算が認められることによって完済から10年経った取引に関しても過払い金請求できる可能性が出てくるのです。
つまり、金額だけでなく消滅時効の起算日に関しても有利になるということになります。 具体的には、1回目の借り入れの返済が10年前に終わっていた場合、通常はこの過払い金請求は出来ません。 しかし、一連取引であると認められれば、2回目以降の借り入れの完済日が時効の起算日になりますので、そこから10年経っていなければそれ以前の分も過払い金請求出来るのです。
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過払い金請求の消滅時効を止める方法
催告を行うことで6ヶ月間延長できる
過払い金請求で訴訟を行う場合、準備に時間が掛かってしまう場合があります。 その時に催告を行うことで、時効の進行を半年間止めることができるので利用するといいでしょう。 催告とは、内容証明郵便などの書面を送付して過払い金請求をする意思を伝えておくもので、消滅時効期間を6ヶ月延長できる制度です。
消滅時効期間が迫っている場合や、和解交渉が長引き時効になってしまう可能性がある時に利用します。 この催告を行い、訴訟の手続きを6ヶ月以内に行えば、時効で過払い金返還が消滅することを回避できます。 6ヶ月以内に裁判上での請求が出来ないと、催告の効果はなくなるので注意する必要があります。
催告は、裁判中に賃金業者から時効が成立したと主張されないためにも、内容証明として送付するのがいいでしょう。
裁判所に申し立てをして時効を止める
過払い金請求をする側としては、消滅時効を止めることが大事ですが、そのためには裁判所を利用する方法があります。 裁判所を利用する方法は3つあり、一つは裁判所に過払い金請求の民事訴訟を提起することです。 これは通常訴訟と少額訴訟の両方を意味します。
次は支払督促の申し立てです。 これは、裁判所に対して督促をすることを申し立てることです。 相手方が異議の申し立てをしなければ、強制執行をすることができます。
最後は民事調停の申し立てです。 これは両者で話し合いを行い、解決を図っていきます。 簡易裁判所で行われるのが特徴です。
地方裁判所を利用する時は弁護士を立てなければならないことに注意しましょう。 どれにしても、裁判所に申し立てが受理された時点で、時効が完全にストップされます。
賃金業との取引に不法行為があった場合は時効が延びる
賃金業者との取引で不法行為があった場合は、過払い金請求の時効を延ばすことができます。 通常の過払い金の消滅時効期間は10年ですが、不法行為があった場合は「過払い金の発生を知った時から3年」になるのです。 不法行為の内容では、暴行や脅迫によって返済の催促が行われた場合や毎日の電話などで嫌がらせ行為による取り立てを行った場合になります。
また、法的根拠がないと知りながらあえて請求する行為も該当します。 過払い金が発生していて支払う必要がないのに賃金業者が支払いを請求してくる場合がありそれにあたります。
過払い金の発生を知るのが取引履歴を受け取った時点と考えると、開示から3年以内であれば、10年経過していても請求することができるのです。
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まとめ
以上で解説したとおり、過払い金請求には消滅時効があります。 折角、過払い金請求をしようと行動しても、時効となってしまっては意味がありません。2007年に金利改定した業者が多いことからも、時効の迫っている方は多いです。 心当たりのある方は、まず自分の状況を把握して、一刻も早く行動に移すことが大事です。
また、期限が切れていると思っても、あきらめるのではなく、解説した消滅時効を止める方法を確認してみて、自分の場合が対象となるかもチェックしてみて下さい。 時効消滅が近いとわかっても、自分では手続きがわからないという方はすぐに近くの弁護士事務所などに相談してみたほうがいいでしょう。 弁護士に手数料を取られたとしても、時効になって1円も返ってこないよりはプラスになります。
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